新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いている今、皆さまにお伝えしたいこと

2021.11.8

新型コロナウイルス感染症がWHOによってパンデミックと認定されてから1年半が経過しました。その間、ウイルスの研究や予防、戦い方について経験を重ね、知見を積み、ワクチン接種が広まり、治療薬の開発も進んできました。2021年11月現在、日本では非常事態宣言も解け、感染ピークは収まり、日常が戻ってきたようにも感じられます。

 しかし世界に目を転じればいまだ収束とは言い難く、予断を許さない状況です。さらに、感染後の後遺症に苦しむ人が増えています。

 新型コロナウイルス感染症の流行が一旦落ち着いているいま、医療制度の改革や福祉の充実など、すべきことは沢山ありますが、市民が率先して出来ることは「リビング・ウイルの作成」です。

 新型コロナウイルス感染症は急性期疾患ですので、治療を受けるべきと協会は考えています。しかし、この疾患は急激な病状の変化、激烈な予後悪化が報告されています。そうなってからでは、患者はすでに意識不明(混濁)の状態ですので最期をどのような形で迎えたいのか、 確認することができません。そうなると、家族が決定しなければならず、その精神的負担はいかほどかと思います。

 予後が推測しやすい病気の場合はゆっくり考えることが可能でも、この感染症は、そういう余裕はありません。ですので、感染の流行が落ち着いている今こそ、自分の最期について考え、家族と話し合い、気持ちを共有する時間です。協会が訴え続けている、「自己決定権に基づいた医療選択」をリビング・ウイルという文書に記録するべき時なのです。

  • 協会は現在約10万人の方が登録し、ご自分の「リビング・ウイル」をお持ちです。このコロナ禍で亡くなった会員様のご遺族様からは、以下のメッセージが届いています。
  • リビング・ウイルを提示して、自宅で看取るができた
  • 急激な体調悪化で救急搬送してもらったが、これ以上は救いようがないという場合に備えてリビング・ウイルを提示した
  • 協会の会員として既に、最期については十分話し合っていたので、過剰に慌てることはなかった
  • リビング・ウイルを提示し、「わたしの尊厳を守ってほしい」と伝えた。

尊厳死とは、「治療を受けないで死ぬ」という単純なことではなく、「自己決定権に基づいた医療選択の自由が保障されたなかで、最期まで人間としての尊厳・誇りが損なわれず、生を全うすること」です。

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことなく、リビング・ウイルの準備をお勧めします。

以上