第4回LW研究会「痛み、苦しみのない最期を求めて」【要旨】

要旨

緩和医療普及のバロメーターとしてよく医療用麻薬消費量が紹介されます。ここ数年わが国の消費量は急速に高くなっていますが、欧米に比べてまだ非常に少ない量にとどまっています。一方、病院では従来の麻酔科が「麻酔科(ペインクリニック)」と守備範囲を広げ、疼痛緩和内科、緩和ケア科も続々新設され、地域でもペインクリニックを掲げる開業医の活動が見られるようになりました。国ががん診療医師を対象に行っている基本的な「緩和ケア研修会」も全国で展開され、今春までに5万7千を超す医師、歯科医師が研修を修了しました。

わが国でも緩和医療が広がりつつあることを示すこうした数字を喜びながら、数字だけでは見えない実際の場面はどうなのだろうかと考えてしまいます。がんなどを患い、症状の進行とともに生じた個人それぞれの痛み、かかえる苦しみ。「全人的痛み」とは何が起こり、それを解き放つ「緩和医療」の実際はどうなのか。体験のない人にはなかなかイメージできません。

今回のテーマ「痛み、苦しみのない最期を求めて」は、痛みとは何か、緩和医療とは何かに焦点を当てました。家族を看取った体験から知る患者の悩み、苦しみとその解放。介護施設あるいは在宅医療では何が起こり、どう解決が図られているのか。難病患者を支えるなかで、患者の苦しみにどう向き合っているのか。医療として日々進歩し、対象領域を広げつつあるテーマですが、少しでもアプローチできればと思います。

(加藤 佳子氏 緩和ケア医師 一般財団法人三友堂病院)
(大下 大圓氏 飛騨千光寺住職・臨床宗教師)
(ワークショップ 壇上の四氏)