【私の本棚】満足して大往生する101のコツ

百でも足りない大往生する知恵

対談本を「長生き時代を生きる」総論とすれば、長尾和宏ドクターが著した『満足して大往生する101のコツ』(朝日新聞出版、2014年7月刊、1300円+税)は人生を閉じる道への各論か。サブタイトルに「病院でも家でも~」とあるのが、兵庫県尼崎市で在宅看取りに柔軟に取り組む長尾さんらしい。
多くの人が願うピンピンコロリだが、それで旅だつ方は5%。残りの方は、末期がんで、臓器不全症で、そして認知症や老衰でゆっくり、と3つのコースで旅だたれる。でもピンコロ以外の3コースでも十分、満足したまま人生を卒業(大往生)できる101のコツを本書が紹介する。
病気より怖い「転倒事故」を予防する▽抗認知症薬にも〝やめどき〟がある▽誤嚥性肺炎は食べられない理由にはならない▽終末期の脱水は省エネモード▽実は家族が最大の敵、だから家族対策を――
101のコツから抜粋してみたが、終末期を迎える心構えどころか、ずーっと以前の病気にならないための知恵まで入っている。なるほど、直前だけバタバタしても満足しての大往生は得られないと知る。病院でも家でも大往生する知恵は、本当は101どころかもっとあるに違いない。

(m)