第1回 特集 〜知って欲しい 尊厳ある最期〜 「人工呼吸器装着をめぐる家族の葛藤」
2021年12月にスタートした「小さな灯台プロジェクト」は今年3年目を迎え、「看取りのエピソード」の数は369件、毎月約2万件閲覧していただいています。
特に閲覧数が多いのは【情報BOX】「人工呼吸器は取り外すことができるの? できないの?」で、ひと月で5000件を超えたこともあるほど関心の高いテーマです。それほどに人工呼吸器装着をめぐる苦悩、葛藤は大きく、直面する家族の感情は複雑です。巡り合う病院、医師次第等、まだまだ多くの課題をはらんでいることが、寄せられた「看取りのエピソード」からもうかがい知ることができます。
「一度装着した人工呼吸器は取り外せるのか?」……尊厳死法のない日本においてはハードルが高い問題です。厚生労働省等のガイドラインでは要件を満たした上でプロセスをふめば延命措置の中止は可能としています。それらの要件に共通しているのは「患者本人の意思が尊重される」ことです。
患者本人の意思が尊重されるとはいえ、その「意思の表明」をしている人はごくわずかです(参照:人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書(令和5年12月)「小さな灯台」で紹介している「看取りのエピソード」は、そのごくわずかな意思表明をした先駆者である会員の皆様からのメッセージです。
そこで「小さな灯台」は、開設3年目を機に「人工呼吸器装着を巡る家族の葛藤」をテーマに特集を企画しました。「人工呼吸器」に限らず、「胃ろう」「気管切開」「人工透析」などの命の選択を迫られた時にどうするか?
今回の特集では、医療の現場で「命の選択を迫られるような事態」があることを知らなかった方、まだそこまでご自身の想いが至らない方、話したいけれどどう切り出せば良いかわからないという一般の方の声も集めることにしました。
私たち一人ひとりが選択・決定していかなければならないことです。この特集記事を見て、知って、考えてみるきっかけにしていただきたいと思います。
特集内容
- 【情報BOX】「人工呼吸器は取り外すことができるの? できないの?」の再編集(新情報も加えましたのでぜひご覧ください)
- これまで掲載した「人工呼吸器」に関連する「看取りのエピソード」のご紹介
- 「リビング・ウイル」および「人工呼吸器装着」に関するアンケートのお願い
- 人工呼吸器装着についての「体験・ご意見」募集
※上記3の「アンケート」および4の「体験・ご意見」投稿について
本企画にともない、会員-非会員を問わず「アンケート」「体験・ご意見投稿」へのご協力を求めています(どちらか一方でも両方でも可)。ご協力いただける方は上記のリンク先にご記入をお願いいたします。
・アンケート締切……2024年7月31日
・「体験・ご意見」投稿締切……期間は限定いたしません。ご投稿をお待ちしています。
この結果は本サイトにてご紹介予定です。おひとりおひとりの迷いの海に「小さな灯台」が、一般の多くの人々の声をお届けすることで、それぞれの“意思決定”の参考にしていただけますように。
「人工呼吸器」に関する看取りのエピソード
本人のリビング・ウイルの意思がかなった事例
- 人工呼吸器回避は会員証を見せていたおかげ
- 遺される者のために全てを書き残してくれていました
- 苦しい最期が悔やまれてなりません
- 自宅で眠るように天に召されました
- 治療と延命措置のラインのあいまいさを実感しました
- 若かった時にはリビング・ウイルを医師に伝える覚悟はできなかった
- 胃ろうがリビング・ウイルを考えるきっかけでした。
- 手術も人工呼吸器も回避
- 「人工呼吸器はつけますか?」
- 最期まで変わらなかった本人の意思
- 家族のよりどころになる「確かなもの」は本人の意思
- 気が動転。救急隊員から聞かれたことは・・。
- 母の苦しそうな様子を見て迷いましたが・・・
- 「呼吸を管理させてもらえますか?」の意味は?
- 20年前に比べ「本人の意思を尊重する」ことの理解は進んでいる
人工呼吸器を望まないから尊厳死協会に入会
※関連記事
①【情報BOX】人工呼吸器は取り外すことができるの? できないの?
②日本老年医学会「ACP推進に関する提言」事例集(2020)「事例2 延命医療 を望まないパーキンソン病患者から人工呼吸器を外して看取った事例」
③人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書(令和5年12月)
④尊厳死協会 第3回リビングウイル研究会「生かされなかったリビングウイル」要旨
⑤尊厳死協会 第3回リビングウイル研究会「生かされなかったリビングウイル」抄録
※この特集に関するご意見・ご質問は協会の医療相談ではなく、当プロジェクト宛にお願いいたします。